高齢者の事故とトヨタの安全対策 プリウスミサイルって!2019/05/25 10:28

ドライバーの正面からオフセットされたセンターメーター
高齢者による暴走事故のニュースが続いていますが、事故を起こした車がトヨタのプリウスである事が多いのがとても気になっています。

ブレーキが利かなかった、という発言も複数回きいており、最初の頃は車に誤作動の欠陥があるのでは?という疑いも持ちましたが、どうやらそれはなさそうです。

いまでは高齢者がその特性によってアクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違えているのだ、という結論のようですが、個人的にはこの点に釈然としないものを感じているわけであります。

踏み間違いは高齢者だけに起こっているのか?
それほど間違いやすい位置関係にペダルがあるのはプリウスの特徴なのか?

どちらも、NOだと思います。

若い人や中年層の人も間違える事はあるはず。ただ、間違いにすぐ気付いて情況に応じた対処をするから事故に至らないだけ。

ペダル配置は、プリウスは感覚的に少し左寄りだそうですが、極端ではありません。軽自動車や小型車のなかには、タイヤハウスが内側に張り出してペダルを左に押し寄せているものがたくさんあります。ペダル間が狭くてアクセルとブレーキを同時に踏んでしまうものさえあります。

そういうペダル配置などの物理的な問題ではなくて、プリウスでは踏み間違いが起こっているのです。

なぜか。

私は、このプリウスに代表されるハイブリッド車への不慣れが原因だと思うのです。

ご存じない方の為に説明しますが、モーターで走っている時にはアクセルを緩めても普通の車のようにエンジンブレーキが利いて減速することがないのがトヨタのハイブリッド車です。電気モーターですので回転の抵抗がほとんどなく、モーター回転が落ちてもタイヤの回転を落とすほどの抵抗力が発生しません。つまり、アクセルを緩めても普通の車のようにはスピードが落ちないのです。スーッとそのまま走ってしまう感じになるのです。
この対策として日産の電気自動車などはアクセルオフに合わせて意図的にタイヤの回転数を落とす仕組みを入れてエンジンブレーキの役目を与え、違和感を無くしていますが、トヨタのハイブリッドはそのあたりが手動なのです。

シフトレバーというか、プリウスなどの場合はもはやシフト「スイッチ」なのですが、そこに「B」というポジションがあります。

私は最初見た時には「ん?」と不審に思い、少し考えて「バック」かな?と思いました。でもバックする時の為には従来車と同じ「R」(リバース)がちゃんとあるのです。

答えを言えば、これはブレーキの「B」なのです。エンジンブレーキをかけたい時にはこの位置にシフトして下さい、という事です。

もうひとつ、一般的なオートマチック車であればシフトレバーの位置を見ればどこにギアが入っているのかわかりますが、プリウスのシフトレバーは見た目ではどのポジションにいま入っているのかわかりません。
メーターパネルの表示で確認しなければなりません。あるいは少し動かしてみるとか。

間違えてついうっかり、バックしようとして「B」を選んでしまう。
しかもモーターで動く時にはアクセルを踏んでも音がしません。ガソリンエンジンのグウォーッという唸りは聞こえてこないのです。

前進とバック、アクセルとブレーキ、踏み間違えてもすぐに気付ける判断材料のうち、音の情報が欠落しているのはパニックの時には大きな問題だと思います。

加えてもうひとつ、プリウスのメーターパネルは中央に寄っています。ドライバーの正面ではありません。これはトヨタが人間工学的にその位置のほうが視線の移動が少なくて済み、安全性が高まるから、という理由でファミリーカーを中心に採用しているデザインです。

はたして本当にセンターメーターは人間工学に適っているのでしょうか。少なくとも私にはとても見づらいです。正面にメーターがない事である種の不安感を覚えます。落ち付かなさ、といったほうがいいかもしれませんが、とにかく意識して見ないと情報が入ってこない感じなのです。
慣れの問題だということかもしれませんが、そういう慣れが必要なものだとしたら、順応性も恐らくは衰えている高齢者にはそのことこそが簡単ではないのではないかと思うのです。

パニックになった時に目につきやすい場所、目に飛び込んでくる場所にシフトポジションなり警告ランプなりがないと、踏み間違いやシフトミスに気づけないのです。本当に人間工学に基づいた配置であるのなら、そういう緊急時にこそ効果を発揮するものだと思うのですが、現実には反対になっていると思います。
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未来的、進歩的デザインのイメージ戦略なのでしょうが、その結果として分かりにくいデザインや操作に戸惑うネーミングなど、高齢者に不自由さを強いる車になっているのではないでしょうか。

新しさを違和感なく享受できるレベルにまで落としこめていない不親切さが、プリウスによる高齢者の事故が多発する原因であろうと推測する次第です。

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